特定外来生物ツマアカスズメバチの被害とは|遭遇したらとるべき行動
スズメバチの基礎知識

特定外来生物ツマアカスズメバチの被害とは|遭遇したらとるべき行動

投稿日:2021年7月7日

「もしかしてこのハチ、ツマアカスズメバチ?」
「外来種だから危険って本当?」

みなさんこんにちは!ハチおじです!
ツマアカスズメバチは特定外来生物に指定されており、一刻も早く捕獲・駆除する必要があるハチなんです!

2012年に長崎県対馬市へ上陸したツマアカスズメバチ。
徐々に生息域を拡大させており、これまで長崎県・福岡県・宮崎県・大分県・山口県でその姿が目撃されています。

ツマアカスズメバチは「養蜂業・生態系・私たち人間」に対して深刻な被害をもたらすため、特定外来生物に指定されています。
ミツバチをエサにする食性、凶暴な性格や繁殖力の高さなど、厄介な点をあげだしたらキリがありません…

そこで今回は、ツマアカスズメバチの生態や見分け方・危険性について詳しく解説いたします。
さらには遭遇したときにとるべき行動についてもお伝えしますので、この記事を読んでツマアカスズメバチの脅威から身を守る方法を確認してくださいね!

さっそく見ていきましょう!

※もしツマアカスズメバチを見かけたら、お住まいの自治体の環境課へ連絡する必要があります。
詳しくは「【重要】地域の環境課に連絡を」にてご紹介していますよ。(ページ下部へと移動します)

【ハチおじ】スズメバチ大好きおじさんのスズメバチ相談室は、スズメバチに関するあらゆる悩みの解決を目的として運営しているサイトです。

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ツマアカスズメバチの生態と見分け方

地面にとまるツマアカスズメバチ

まずはツマアカスズメバチの基本情報についてお伝えいたします。

和名 ツマアカスズメバチ
学名 Vespa velutina Lepeletier
英名 yellow legged hornet
原産地 インドネシア(ジャワ島)
日本での分布 長崎県・福岡県・宮崎県・大分県・山口県で確認された
見た目の特徴 ・全体的に黒色
・腹:先端がオレンジ色っぽい

他種のスズメバチと見分ける際は、腹部の色の違いに注目しましょう。
ツマアカスズメバチの全身は黒色ですが、腹の先端がオレンジ色なんです。

腹部の特徴的な色合いから、ツマアカスズメバチの名前がついたとされています。

また、脚の先が黄色いことも特徴の一つです。

体の大きさは、スズメバチの中ではやや小ぶり。
女王バチの大きさは2.6〜3.0cm、働きバチの大きさは2.0〜2.4cmほどしかなく、最大級の大きさを誇るオオスズメバチよりもおよそ1〜2cm小さいんですよ。

ミツバチを好む食性

ツマアカスズメバチは、ミツバチを好んでエサにします。
この後「①養蜂業への被害」にて詳しくご紹介しますが、定着した地域ではミツバチの巣箱が全滅してしまうほど被害が深刻なんです。

さらにはハエやチョウ、トンボなどの飛翔昆虫に加えて、人間が捨てたゴミを漁って肉や魚をエサにすることもあります。

このように幅広い食性をもつため、エサの豊富な都心部でも姿が確認されているんです。

巣の形状は縦長、5〜30mほどの高さに営巣する

樹木の高い位置に作られたツマアカスズメバチの巣

巣は完全なボール型ではなく、しずくのような縦に長い形をしています。
大きさは平均で50cm〜70cm程度と、最大クラスの巣を作るキイロスズメバチに匹敵するほど大きいんです。

なんと直径1mに達した巣もあるんですよ…!

初期の巣は4月ごろから、女王バチ一匹によって茂みや木のうろなどの閉鎖的な空間に作られます。

その後、働きバチの数が増える夏から秋にかけて、より広い空間を求めて巣を引っ越すのです。
引越し先は樹木や建物などの高い場所で、5〜30mほどの高さに営巣することもあります。

実際に高さ10mほどの位置にできた巣の様子がこちら。

ほかにも都市部の街路樹や電柱などに営巣されたケースもあるんですよ。

天敵は「ハチクマ」

攻撃性の高いツマアカスズメバチにも天敵は存在します。

代表的なのは、ハチクマという鳥です。
ハチクマはハチを主食としており、巣を襲って幼虫やサナギを食べ尽くしてしまいます。
ツマアカスズメバチは高所の目立つ場所に巣を作ることもあってか、ハチクマに狙われやすいんですね。

天敵は他にも、シオヤアブなどの昆虫・ネジレバネといった寄生虫も当てはまります。

「天敵を使えばツマアカスズメバチを駆除できるんじゃ…?」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし天敵である動物や昆虫を人間の力でコントロールするのは難しいため、駆除への活用は見込めないんですよ。

攻撃性〜ツマアカスズメバチvsオオスズメバチ〜

ツマアカスズメバチの攻撃性は非常に高く、とくに次の3つの特徴をもちます。

  • 警戒力が高い
  • 巣への刺激に対して激しく反撃する
  • 追跡力が高く、執拗に攻撃してくる

働きバチが警戒する範囲は広く、巣から10mほど離れた場所にいる相手に対しても威嚇行動をとることがあります。

なんと、巣から40mも離れた場所で刺された方もいらっしゃるんです…!

巣に対して振動などの刺激を与えてしまうと、中から大量の働きバチが飛び出し、一斉に攻撃してきます。
すぐにその場を離れたとしても、攻撃対象とみなした相手をとことん追いかけ、執拗に攻撃してくるんです。

一度刺激してしまうと、防護服をしっかりと着ていない限り、刺されることは避けられないでしょう。

ここで、オオスズメバチとどっちが強いの?と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

どちらが強いかを決めるのは難しいですが、一匹あたりの強さならオオスズメバチ巣全体の強さならツマアカスズメバチのほうが勝るかもしれません。

参考までに、2種の攻撃性にまつわる生態を表にまとめて比較してみました。

生態 ツマアカスズメバチ オオスズメバチ
働きバチの大きさ 2.0〜2.4cm 2.7〜3.8cm
巣にある育房の数 3,000〜30,000 3,000〜5,000
警戒力の高さ 巣から10mの距離 巣から10mの距離
巣の刺激への反応 最大 最大
追跡力 40m 30m
毒の量

ツマアカスズメバチのほうが一つの巣に潜む働きバチの数が多く、さらにしつこく追いかけて攻撃してきます。
しかし、毒の量はオオスズメバチのほうが多く、働きバチ一匹あたりの大きさも倍以上のため、一個体あたりの強さでは優位でしょう。

そんな危険なツマアカスズメバチが、日本で生息域を拡大させているんですよ…

次に、これまでツマアカスズメバチの存在が確認された地域と経緯についてご紹介いたします。

生息域を拡げるツマアカスズメバチ

ツマアカスズメバチが脅威的な存在となった理由の一つに、繁殖力の高さがあげられます。
一度に数千匹を出産するため、短い期間で爆発的に数を増やしていくんです。

ここからは、日本で発生したツマアカスズメバチによる被害事例に加えて、被害が深刻な韓国・ヨーロッパの現状についてもご紹介いたします。

日本では九州地方を中心に分布

ツマアカスズメバチの確認状況

日本では長崎県対馬市で姿が発見されて依頼、九州地方を中心に複数の都市で働きバチや巣が確認されています。
2019年には、山口県防府市において本州ではじめて発見されたんです。

発見された時期と被害の詳細を以下の表にまとめました。

時期 被害詳細
2012年10月 長崎県対馬市ではじめて巣が確認される
2015年9月 福岡県北九州市で巣が確認される
2016年5月 宮崎県日南市でトラップにかかった女王バチが捕獲される
2018年10月 大分県大分市で巣が確認される
2019年11月 山口県防府市で営巣が確認される

参考:日本の外来種対策_環境省

現時点では、対馬市にのみ定着が確認されています。

自治体では分布の拡大を防ぐために防除計画が盛んに実行されており、とくにスズメバチトラップを用いた駆除が主流です。
2015年に長崎県対馬市で行われた調査では、約3ヶ月の間で1,591個体のツマアカスズメバチの女王バチがトラップ によって捕獲されました。
参考:(お知らせ)長崎県対馬市におけるツマアカスズメバチの防除結果について_環境省

しかし、まだまだ拡大の恐れはなくなりません。

もしあなたがツマアカスズメバチを見かけた際は、自力で駆除しようとせず、自治体の環境課への連絡をご協力ください。
提供された情報は、生息数や定着の有無などの調査に活用されますよ。

※九州地方+生息が確認された山口県の環境課の連絡先一覧はこちらから(ページ下部へと移動します)
【重要】地域の環境課に連絡を

韓国・ヨーロッパでも被害は深刻

韓国では2003年に釜山ではじめてその姿が確認され、以降この地を中心に分布が拡大しています。
その生息数は在来種であるケブカスズメバチ(キイロスズメバチ)を上回り、最優占種にまで登りつめました。

現在では、都市部で最も刺傷被害の多いスズメバチなんです。

韓国と同時期の2005年ごろ、ツマアカスズメバチはフランスでもその姿が確認されました。
2012年にはポルトガル・スペイン・ベルギー・ドイツにまで生息域を拡げています。

なんと単純計算で、年間100kmの速さで分布を拡大していると考えられているんです。

これほどまでに早く生息域を拡大できた理由として、天敵となる存在がいなかったことなどがあげられています。

ツマアカスズメバチがもたらす3つの被害

ツマアカスズメバチによる養蜂業への被害

日本でツマアカスズメバチの生息が拡大した場合、次の3つの被害が深刻化すると考えられます。

  1. 養蜂業への被害
  2. 生態系への被害
  3. 人間への被害

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①養蜂業への被害

ツマアカスズメバチはミツバチを主食とするため、養蜂場にある巣箱が襲われ全滅するという被害が発生しています。

韓国では2〜3週間のうちに、50個ものミツバチのコロニーが消滅してしまったんです…

ツマアカスズメバチがミツバチを襲う際、巣箱の内部にまで侵入することはめったにありません。
ミツバチには「蜂球」と呼ばれる、集団で襲いかかって外敵を撃退する技術があるためです。

ツマアカスズメバチは巣箱の入り口付近で待ち伏せし(ホバリング)、中に戻るミツバチを空中で捕獲するのです。

②生態系への被害

韓国では、ツマアカスズメバチが在来種であるケブカスズメバチの数を上回ったとご紹介しました。
日本においても生息が拡大した場合、希少な在来種に被害を及ぼすと考えられます。

攻撃性の高いツマアカスズメバチに襲われてしまったら、ひとたまりもありません。
種が絶滅するまで捕食されてしまう可能性があるんです…

また、在来の昆虫の数が減少することで植物の受粉にも影響が出てしまい、経済的なダメージも受けるでしょう。

日本の多様な生態系を維持するためにも、ツマアカスズメバチの定着を防ぐことが求められています。

③人間への被害

ツマアカスズメバチは私たちに対しても、多くの刺傷被害をもたらしています。
万が一刺されてしまうと痛みや腫れなどの症状が発生し、場合によっては深刻なアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるんです。

すでに広い地域で定着が進んでいる台湾やマレーシア、インドネシアなどでは死者まで出ているんですよ…

これらの被害をもたらすことから、ツマアカスズメバチは防除すべき特定外来生物として指定されているんです。

そこで最後に、ツマアカスズメバチの被害の拡大を防ぐために、私たちができることについてお伝えいたします。
遭遇したときにとるべき行動もご紹介しますので、安全のためにもしっかりご確認くださいね。

ツマアカスズメバチの被害を防ぐためにできること

ツマアカスズメバチを発見した場合、安全を確保したのちに、自治体の環境課に報告することが求められています。

万が一家の敷地内に巣を作られた場合は自力での駆除は決して行わず、役所やスズメバチ駆除の専門業者に相談してくださいね。

遭遇したら:刺激しないようにゆっくりその場を離れる

ツマアカスズメバチに遭遇したときは、落ち着いてゆっくりとその場を離れましょう
刺激に対して非常に激しく反応するため、走って逃げるのはNGです

ツマアカスズメバチは攻撃する前に、相手の周囲を飛び回りながら「カチカチ」と大アゴを鳴らす威嚇行動をとります。
威嚇されたときにやってはいけないのが、手で追い払うなどして大きく動いてしまうことです。

「ブーン」と大きな音が耳元で聞こえた。 「ハチだ!」と聞こえた瞬間パニックになり、「近づいたらとにかく動かない」という対応の「イロハのイ」も当然のごとく忘れ、獅子舞のように頭を振り乱し、何とか避けようとしてしまった。
これが仇となった。耳元での恐ろしい「ブーン」という羽音は消えず、突然、予防接種のような、じっくりと針で刺される感触を受けた。

引用元:記者はこうして外来種のスズメバチに刺された_日経ビジネス

このように、大きく動くとかえって刺激してしまい逆効果なんです。

もし刺されてしまった場合は、以下の流れで応急処置を施します。

  1. 刺された箇所に流水をあて、洗い流す
  2. 指でつまんで毒液を絞り出す
  3. 抗ヒスタミン系の成分を含んだ薬を塗る
  4. 患部に氷などをあてて冷やす

刺されたときに症状が出ずとも、数日後に大きく腫れたりじんましんなどの全身症状が出ることがあります。
放置せず、必ず病院へ向かってくださいね

【重要】地域の環境課に連絡を

安全を確保したら、各自治体の環境課にツマアカスズメバチを発見したことを連絡しましょう。
以下に、すでに姿が確認された地域をはじめとする、九州地方各県の連絡先をまとめました。

山口県|環境生活部自然保護課自然・野生生物保護班
電話・FAX TEL:083-933-3050
FAX:083-933-3069
メールアドレス a15600@pref.yamaguchi.lg.jp
福岡県|自然環境課
電話・FAX TEL:092-643-3368
FAX:092-643-3222
長崎県|自然環境課
電話・FAX TEL:095-895-2381
FAX:095-895-2569
メールアドレス s16110@pref.nagasaki.lg.jp
大分県|自然保護推進室
電話・FAX TEL:097-506-3022
FAX:097-506-1749
熊本県|自然保護課
電話・FAX TEL:096-333-2274
FAX:096-384-5135
佐賀県|県民環境部 有明海再生・自然環境課
電話・FAX TEL:0952-25-7080
FAX:0952-25-7521
メールアドレス ariakekaisaisei@pref.saga.lg.jp
鹿児島県|環境林務部自然保護課
電話・FAX TEL:099-286-2616
FAX:099-286-5546
メールアドレス yasei@pref.kagoshima.lg.jp
自治体が駆除に対応していない…という場合は、スズメバチ駆除の専門業者に相談してくださいね

自力で駆除せず、専門業者に相談しましょう

環境省からは、駆除を行う業者に対しても情報提供の依頼が出ています。
そのため、適切な手順に沿って対応してくれるんですよ。

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もちろん九州地方も対応エリア内。
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まずは電話かメールでご相談してみてくださいね。

まとめ

特定外来生物に指定されている、ツマアカスズメバチについて詳しくご紹介いたしました。
ぜひおさえていただきたいポイントを、あらためてお伝えいたします。

  • 警戒力が高く、巣に刺激があると激しく反撃する
  • 攻撃対象となった相手を40メートル近く追跡し、執拗に攻撃してくる
  • 人間だけでなく生態系に対しても大きな被害を与えるため、一刻も早い防除が求められる

これ以上生息域を拡大させないためにも、見つけ次第すぐに自治体専門業者にご連絡くださいね。

この記事があなたのツマアカスズメバチに対する悩み、不安を解消するために役立ちましたら幸いです。
それでは!

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