【スズメバチの毒】どんなアレルギー症状がでる?応急処置と予防法
投稿日:2024年4月1日
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「スズメバチの毒はどれくらい危険なの?」
「もし刺されたらどうするべき…?」
スズメバチの毒の危険性と、刺されたときに出る症状について解説いたします。
スズメバチの毒は、アシナガバチやミツバチと比べてとくに強力。
毒の中には痛みや腫れなどの症状を引き起こす成分が複数含まれており、「毒のカクテル」と称されるほどなんです。
そんなスズメバチに刺されたときの症状は、刺された箇所にのみ表れる「局所症状」と、めまい・吐き気などの「全身症状」の2つにわけられます。
全身症状がでた場合は死にいたる可能性もあるため、刺されないようにしっかりと予防することが大切です。
この記事では、毒に含まれる成分や刺されたときの症状について詳しく解説いたします。
さらに、万が一の応急処置の手順・刺されないための予防法についてもご紹介いたしますよ。
スズメバチに刺されたらどうしよう…読み終わる頃にはそんな不安が解消されているでしょう。
それでは参ります!
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スズメバチに刺されたときの症状
スズメバチに刺されたときの症状は、大きく局所症状と全身症状の2つにわけられます。
- 局所症状:刺された箇所のみに生じる、痛み・腫れ・赤み・しびれなど
- 全身症状:刺されてから15〜30分ほどで発症する、めまい・吐き気・嘔吐・動悸など
スズメバチに刺されると、まず強烈な痛みが走ります。
その痛みは「焼けた釘に触れたような熱く鋭い痛み」と表現されるほど。
刺された場合の多くは、痛みや腫れといった局所症状だけで済みます。
適切な治療を受ければ、2、3日〜1週間程度で治ることがほとんどですよ。
しかし、まれに刺されたことでアレルギー反応が生じ、めまいや吐き気などの全身症状が表れます。
全身症状が深刻な場合、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤な状態に至る可能性があるんです。
アナフィラキシーショックとは
アレルギー反応によって発症した全身症状が重症化し、血圧低下や意識障害などを伴う危険な状態を、アナフィラキシーショックとよびます。
以下のような症状が出た場合、アナフィラキシーショックの可能性が高いでしょう。
- 全身の赤み、じんましん
- 血圧低下によるチアノーゼ(皮膚、粘膜部分が暗青色または暗紫色となる)
- 尿・便の失禁
- 嘔吐
- 四肢のけいれん
- 意識障害
- 呼吸困難
- 動悸
- 失神
参考:
・『スズメバチはなぜ刺すか』松浦誠 p60
・アナフィラキシーショックとは(症状・原因・治療など)|ドクターズファイル
異変を感じたらすぐに救急車を呼び、応急処置をして待ちましょう。
ここで、アレルギー反応が生じる仕組みについてご説明いたしますね。
そもそもスズメバチの毒の中には、アレルギーの原因となる成分が含まれています。
毒が人間の体内に入ると、対応するために「抗体」が作られるんです。
このとき、人によっては「IgE抗体」が作られ、皮膚や粘膜に多くある「マスト細胞」の表面に付着します。
再び毒が体内に入るとIgE抗体が反応し、マスト細胞の中の「ヒスタミン」と呼ばれる化学物質が放出されます。
このヒスタミンが原因で、アレルギー症状が表れるのです。
2回刺されると危険って本当?
「2回刺されないとアレルギー症状は出ないの?」
そのように考える方が多くいらっしゃいます。
しかし、1回刺されただけでもアナフィラキシーショックの症状が出ることがあるんです。
実はアレルギーの原因となるヒスタミンは、毒の中にすでに含まれています。
そのため、1回刺されただけでも毒の量が多いと全身症状が出てしまい、アナフィラキシーショックによって命を落とす可能性は十分にあるんですよ。
※今すぐに応急処置の方法を確認しておきたい!という方はこちらからチェックしてくださいね。
▼スズメバチに刺されたときの応急処置の手順
スズメバチの毒に含まれる成分
スズメバチの毒には、先ほどご紹介したヒスタミンをはじめとする、多くの危険な成分が含まれているんです。
成分は大まかに、以下の3種類にわけられます。
- アミン類
- 低分子ペプチド
- 酵素類
それぞれ引き起こされる症状が異なります。
表にまとめてご紹介いたしますね。
アミン類 | |
成分 | ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリンなど |
症状 | 炎症、痛み、痒み |
低分子ペプチド | |
成分 | ホーネットキニン、マストバランなど |
症状 | 痛み、痒み、白血球遊離、溶血作用、神経毒 |
酵素類 | |
成分 | ホスホリパーゼ、ヒアルウロニターゼ、プロテアーゼ |
症状 | アレルギー、組織破壊、溶血作用 |
参考:『スズメバチ都会進出と生き残り戦略』中村雅雄 p108
とくにオオスズメバチは、毒の量が他のスズメバチよりも多いんです。
さらに、神経系に作用する「マンダラトキシン」という非酵素系の成分が毒の中に含まれている、唯一のスズメバチなんですよ。
スズメバチは何度でも刺してくる
スズメバチの針は「かえし」の部分が小さいため、何度でも抜き差しすることができます。
これによって大量の毒液を体内に注入してくるのです。
スズメバチの毒針は1本の「刺針」と、2本の「尖針」が合わさってできています。
2本の尖針が交互に動くことでノコギリのような役割を果たし、皮膚の深部にまで毒液を放出する刺針を突き刺すのです。
また、針の使い道は刺すことだけではありません。
仲間の働きバチを集めるための警報フェロモンとして、毒液を空中に散布するためにも使われます。
この毒液が人間の目に入ってしまうと焼けるような痛みがあり、最悪の場合、失明の可能性もあるんです。
スズメバチに刺されたときの応急処置の手順
ここまでで、スズメバチの毒の危険性について十分ご理解いただけたかと思います。
しかし適切な応急処置を行えば、症状の軽減や進行を遅らせることができますよ。
応急処置は以下の4手順で行いましょう。
- その場から静かに離れる
- 傷口を流水で洗う
- 傷口をつまんで毒を絞り出す
- 薬を塗り、傷口を冷やす
それぞれ詳しいやり方をご紹介いたします。
1.その場から静かに離れる
まずはじめに、静かにゆっくりとその場を離れましょう。
刺されてしまうとパニックになり、急いで離れたくなるかもしれませんが、それは逆効果。
大きな声を出したり走ったりして刺激を与えると、かえってスズメバチを興奮させてしまい、さらに刺される危険があります。
スズメバチの中には、40m近く追跡して攻撃してくる種類もいます。
そのため、できれば50mほど離れることがのぞましいでしょう。
2.傷口を流水で洗う
毒液は水に溶けやすいため、流水で刺された箇所を洗い流しましょう。
冷水であれば血管が収縮し、毒のめぐりを遅らせることもできますよ。
3.傷口をつまんで毒を絞り出す
次に、傷口を指先や爪でつまんで毒を絞り出しましょう。
このときポイズンリムーバーがあると、より確実に絞り出すことができます。
口で吸い出すのは絶対にやめましょう。
口内の傷や虫歯などから毒が入り込む可能性があります。
4.薬を塗り、傷口を冷やす
症状を和らげるために、抗ヒスタミン系のステロイド軟膏を塗りましょう。
ただし、この薬を塗ったからといって完治するわけではありません。
塗った後は刺された箇所を氷などで冷やしながら病院へ向かい、適切な治療を受けてくださいね。
全身症状がでたら「ショック体位」をとる
全身症状が出た場合は、すぐに救急車を呼んで病院へ向かいましょう。
救急車の到着を待つ間は、ショック体位をとって安静にします。
ショック体位とは仰向けになり、両足を15〜30cmほど高くした姿勢のことです。
嘔吐してもいいように、顔は横向きにしておきます。
足を上げることで心臓に戻る血液が増加するため、血圧の低下を防ぐことができるんですよ。
刺されないための予防法をチェック
ここからは、スズメバチに刺されないための予防法をチェックしていきましょう。
今回は以下の3つの状況別に予防法をご紹介いたしますよ。
まずはじめに、刺されないための3つのポイントを確認しましょう。
これらはすべての状況に共通する、いわば刺されないための基本的な行動なんです。
3つのポイントで刺されるのを防ぐ
こちらが刺されないための3つのポイントです。
- 巣や働きバチに近づかない
- 走って逃げたり、大きな声を出さない
- 近づいてきても追い払ったりしない
これらの行動に共通しているのは、とにかくスズメバチに刺激を与えないことです。
実はスズメバチは、人間を見つけ次第むやみに刺してくるわけではありません。
自分自身や巣に刺激が加わり、危機を察知したときに攻撃してくるのです。
スズメバチは攻撃の前に相手の近くを飛び回ったり、大アゴを「カチカチ」と鳴らして威嚇してきます。
威嚇の音が聞こえたら、低い姿勢でゆっくりその場を離れましょう。
「キャンプや登山にいくとき」の予防法
- 黒い服やひらひらと動く服は避ける
- 制汗剤や香水などの、強い香りのするものを身につけない
- 食べ残しや飲み残しをそのままにしない
キャンプや登山など、自然の中で活動する際はとくにスズメバチに遭遇しやすい状況です。
スズメバチが狙いやすい黒い服装や、匂いが強いものを身につけるのは避けましょう。
また、食べ残しや飲み残しをそのままにすると、エサにするためにスズメバチが集まってくることがあります。
そのままにせず、匂いが出ないように袋などで密閉しておきましょう。
万が一遭遇したときのために、携帯用の殺虫剤を用意しておくと安心です。
こちらの商品のサイズは直径36×140mmと、リュックのサイドポケットに入るコンパクトさ。
もちろん効果は抜群で、スズメバチに有効なピレスロイド系の成分が含まれているんですよ。
「家の中に入ってきたとき」の予防法
- 明るいほうの窓を開けて、自然と出ていくのを待つ
- 殺虫剤は火気を避けて使用する
家の中にスズメバチが入ってきたら、思わずパニックになってしまいますよね。
しかし先ほどもお伝えしたように、大きな声を出したりするのはNG。
明るい方向に向かって飛ぶというスズメバチの習性を利用して、自然と出て行ってくれるのを待ちましょう。
夜間の場合は、窓の外に懐中電灯などをおいて誘導するといいですよ。
殺虫剤の多くは可燃性のため、使用する場合は火気が近くにないか確認してくださいね。
「ベランダや庭で遭遇したとき」の予防法
- 近づかず、ゆっくりとその場を離れる
- 巣がある場合は専門業者に駆除を依頼する
ベランダや庭など、私たちの身近な場所でもスズメバチに遭遇することは多くあります。
そのときに大切なのは、刺激を与えないように、ゆっくりとその場を離れること。
そして、巣がある場合には一刻も早く駆除することです。
4月〜6月前半の時期であれば、ほとんどの巣の中には危険性の低い女王バチしかいません。
そのため自力でも駆除できますが、どれだけ防護服で対策しても刺される可能性がゼロとは言い切れないんです。
ハチおじイチオシの「みんなのハチ駆除屋さん」は、70,000件以上の実績をいかした徹底的な駆除と、再発対策が魅力的な業者です。
もちろん作業中、あなたは安全な場所で待機しているだけでOK。
現地調査と見積もりまでは無料、キャンセル料もかかりません。
「業者に依頼した経験がない…」という方でも、気軽にご相談できますよ。
【食用】毒があるスズメバチを食べる文化
実は日本の一部地域において、スズメバチは食用として愛されています。
成虫は焼いたり揚げたりして食べられる他に、焼酎や蜂蜜に漬けたものが販売されているんです。
生きたままのスズメバチを漬けることで毒が抽出され、疲労回復などの効果が見込める品が出来上がります。
さらに長野県や岐阜県では「地バチ採り」と呼ばれる文化があります。
スズメバチの巣を探して採りだし、中のハチの子を調理して食べるんです。
ハチの子はタンパク質などの栄養価が豊富な食材で、炊き込みご飯や煮込み料理として食べられているんですよ。
まとめ
この記事ではスズメバチの毒について解説するとともに、刺されたときの症状や応急処置の方法、刺されないための予防法についてもご紹介いたしました。
重要なポイントを振り返りましょう。
- スズメバチに刺されると腫れなどの局所症状や、めまいや吐き気などの全身症状が出る
- 「毒のカクテル」と呼ばれるほど、スズメバチの毒にはさまざまな成分が含まれている
- 刺された場合はすぐに応急処置を行い、病院へ向かう
- 刺されないためには、スズメバチに刺激を与えないことが大切
もしあなたやご家族が刺されてしまったら…考えるだけで不安になってしまいますよね。
巣がある場合はもちろん、見かけたのが一匹であっても、スズメバチ駆除の専門業者に依頼して刺される被害を未然に防いでくださいね!
スズメバチに刺されることがなく、安全に過ごすことができますよう、願っております。
それでは!
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